おそろし
最近読んだのはおどろおどろしい、妖しい、哀しい、オゾマシイ本。
知人が宮部みゆきの「おそろし」を貸してくれ、こんな本もよかったらと貸してくれたのが・・・
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『おそろし』 宮部みゆき ☆☆☆
”三島屋変調百物語事始め”の副題があり、叔父の三島屋に預けられた娘おちかが叔父の勧めで江戸中から集められた不思議な問わず語りを聞くうちに、閉ざした自分の心も開いていくという話ですが、最後にあれ?こんなのあり?真剣に読んでいったのに最後でずっこけ。

『瞽女の啼く家』 岩井志麻子 
”瞽女という呼び名は、白拍子の呼び名「御前」から来たもので、悪い名前、いやしむ呼び名ではありません。と言って褒め、崇め、奉る呼び名でもないのです。「美号をもって憐れむ」そんな言い回しのある呼び名だそうです。
「後ろに何かおると思わんか」「いわれてみりゃ、そねえな気がする」・・・目の見えない分、物の怪や死者の気配を感じ取ってしまうお芳。
読んでいると肌が泡立つような、後ろを振り向くとなにかが・・・私には心眼はありません(笑)

『あやしうらめしあなかなし』 浅田次郎 
”七つの優霊物語”とありますが、読後に後味の悪い本でした。
「鉄道員」に収録されている「角筈にて」「うらぼんえ」などは死者との優しい邂逅があるけれど、この本は生きている側の死者に対する執着がおぞましい~~かな?!

『夜市』 恒川光太郎 ☆☆☆☆
ふと別の世界に紛れ込んでしまった人の不安さ怪しげさがとてもよく出ていて、そういえば子どもの頃、今と違ってほの暗い照明のなかで、電球が揺れるたび屋台やキャラクターのお面に影ができ、ゆらゆら揺れてちょっと心が不安になった記憶がよみがえりました。
「風の古道」も同じように、人間が入ることができない古道に入り込んでしまった少年と古道の世界で生きる若者レンとの10日ほどを描いています。幻想的で、優しくて、心惹かれました。

『死後結婚』 岩井志麻子 
怖い題名。韓国の地方に残る死者をを弔うための古い風習、とはいっても京雨子の見る幻想も、作家・北城清香の死も、読んでいて耐えられない。そして最後のあっけなさ…何?

『怖い絵』 中野京子 ☆☆☆☆☆
とても面白かったです。
中野京子さんは、絵は単なる写生ではないと言っています。
寓話として読み解く絵もあれば、ギリシャ神話や宗教に照らし合わせた絵画もあります。
風刺画もあります。
普通の何気ない絵でも、画家の居た社会、当時の画家の生活背景、描くときのモデルに対する画家の心情など、歴史をしっかり勉強しなければ理解できないことがたくさんありそうです。
肖像画は特に、画家のモデルに対する心情が出ているそうです。
美術館で1枚の絵の前で長時間立ちつくすことはできませんが、この本を読んで絵画を見たら、より楽しめると思います。絵画の見方が広がりました。

自分で選ぶ本は好みが偏ってしまいますが、人から借りて読むといろいろなジャンルの本が読めるので面白いです。
でも、ホラーは私には向かないな~岩井志麻子さんは私向きではないと痛感しました。
by nhana19 | 2008-09-28 00:34 | 読書
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